両手取りは、売主、買主、どっちの味方なの?

マンション売却アドバイザーの蓮中です。

前回の『物件が高くすぐに売れない理由①』では、物件の囲い込みによる弊害について説明をしました。

物件の囲い込みによる物件の独占は違法行為ですが、売買取引の両手取りは、通常の取引として認められています。

しかしながら、売買取引の両手取りも顧客の利益を損なう一つの原因になっています。
もともと、日本で売買取引の両手取りが認められているから、物件の囲い込みのような行為が横行するとも言えます。

では、「両手取り」とは何か、そして両手取りによって顧客はどのような損害を被ることになるのかをお伝えします。

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両手取りとはなにか?

両手取りとは、売買取引について売主、買主の双方と媒介契約を結び、取引を成立させることを言います。

売主側からは、売却依頼を受けて、買主側からは、購入依頼を受けている状態を指します。

両手取りのような利益の相反する双方の間に立って仲介をする仕組みは、日本の不動産業の独特な部分の1つだと言えます。
現在は、宅建主任者から宅建取引士と名前が変わりましたが、不動産業も士業として捉えると不自然な状態です。

例えば、弁護士が被告側と原告側の双方の弁護をするのは不可能です。
罪を軽くしてほしい人と罪を重くしてほしい人、双方の間でなにを弁護するのか分からなくなります。

不動産業も売主は高く売りたい、買主は安く買いたいという希望を持っているため、双方の間で同じ人間が交渉すれば、おかしなことになります。

日本の不動産取引について、両手取りが可能で合法だと聞くと、アメリカの不動産取引業者は、本当に驚くそうです。

両手取りの具体例

両手取りの不利益を具体的に挙げてみたいと思います。

不動産会社で働くAは、顧客から、分譲マンションの売却依頼を受けた。
顧客からの売却希望価格は、3,000万円である。顧客の分譲マンションの情報をネットに掲載し、販売促進用のチラシを作り、販売活動を始めた。

ある日、同時に二人の顧客から買い付けが入る。

ネットを見てB不動産から買いたい顧客の紹介
・希望購入価格:3,000万円
「このマンションは、前回買おうとして逃した!値引きの交渉は必要ないから今すぐに買いたい」
とB不動産の担当者から伝え聞いた。
チラシを見てAが働く不動産会社へ顧客から直接の問い合わせ
・希望購入価格:2,000万円
「このマンションが売りに出るのを待っていた!今すぐ買いたいけど、資金的な余裕がないので、2,000万円で買えるなら、今すぐ買いたい!」

不動産会社のAは、二つの依頼が同時に来たため、どちらに先に電話をしようか少し悩み、自社の利益を計算し始めました。

不動産会社に入る手数料は法律で定められた上限があります。

今回の取引の場合には、3%+6万円が自社の利益になります。
ということは、売却価格が高い方が自社の利益が高くなると思われていますが、それは違います。
では、計算してみましょう。

ネットを見てB不動産から買いたい顧客の紹介
売主から売却価格の3%+6万円を受け取ります。
希望価格:3,000万円
チラシを見てAが働く不動産会社へ顧客から直接の問い合わせ
両手取りのため、売主と買主の双方から売買価格の3%+6万円を受け取ります。
希望価格:2,000万円

希望価格が安い方の顧客の方が自社の利益が高くなることが分かります。

不動産会社のAは、チラシを見て問い合わせてきた顧客に電話をして、B不動産からの問い合わせには、商談中だと伝えてキープする形を取ります。

不動産会社のAが両手取りをすることで、売主は1,000万円近くの利益を失うことになります。

売主にとっては多くの弊害が

不動産の両手取り取引は、不動産会社にとって見れば、利益が高くなるかもしれませんが、売主にとっては、多くの弊害が起ります。

そういった両手取りの弊害をなくすために、近年、エージェント制を導入する「ソニー不動産」や「不動産売却の専門店」などが現れました。

次回は、両手取りで売主の利益を損なうことがないように誕生したソニー不動産のエージェント制、不動産売却の専門店について、紹介していきます。

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